イギリス、スウェーデン、ドイツなどヨーロッパでは、
「家庭医」「ホームドクター」「医療センター」など、
国によっていろんな言い方で、かかりつけ医が指定され、
病気やケガの際はまずそこにかかるのが原則です。
たいていどこも電話予約が必要ですし、
国によってはその初診で何日も待たされる場合があります。
「ヨーロッパの、社会的に制度化された家庭医」は、
「日本人が、日頃かかっている町のお医者さん(開業医)」
とは意味合いが違います。
ヨーロッパの家庭医は、
レントゲンは見れるけど、それ以上の検査はできなかったり、
そもそも薬の処方は看護師がやっていたり。
患者は、夫婦喧嘩のおさめ方から、子供が夜寝ないとか、
病気やケガだけでなくさまざまなことを相談するようです。
医師として治療するというより、「患者の悩みを聞く」という
側面が大きいのです。
コミュニケーション能力のほうが大切になりますし、
診療も予約制でゆるやかだったりしますし、
女性が活躍できるだろうなと思います。
その代わり、日本のように、いつでも、誰でも、どこにいても、
好きな病院にかかれる仕組みはありません。
日本のように
「歯医者だったらどこがいい?」とか
「先週あの医者で見てもらったけど、いまいちだった。
今日、別の病院に行ってくる」とか
自由に信頼できる医者を探して通院することはできません。
家庭医と専門医を分けて、
患者が医者へたどり着くまでの道筋を整理し、距離を作って、
医療費を調整しているのがヨーロッパの医療です。
「捻挫ぐらいで大学病院に来てはだめ」という類の話ならば
わかるけど、そもそも医者に簡単にたどり着けない仕組みなんて、
日本の医療制度の恩恵を受けている身では考えられないですが、
思うに、
西洋の病院の起源は、教会や修道院でのケアでしたから、
ヨーロッパではこのような「相談役」的な家庭医システムが
違和感なく定着し、国民性としても受け入れられているのかも
しれません。
ちょっと日本人とは感覚が違いますね。